コラム

タヒチをこよなく愛した芸術家として知られている「ポール・ゴーギャン」。ゴーギャンの大作がタヒチで描かれたことは有名ですが、どんな経緯があってタヒチまでたどり着いたのでしょうか。

今回は、ゴーギャンの生涯やタヒチで訪れた島について調べてみました。

家族を捨てて画家になったゴーギャン

ゴーギャンは1848年にパリで生まれました。幼少期は、1歳から6歳まではペルー、7歳からはフランスで過ごしています。そして20歳で海軍に入隊し、23歳で海軍を除隊となりますが、この頃から趣味で絵を描くようになったといわれているのです。

海軍を除隊後は証券仲介会社に勤め、25歳でデンマーク人の女性と結婚し、5人の子供を授かります。ここだけを見ると順風満帆な人生という感じがしますが、この平和な生活は10年ほどで終わりを迎えます。

ゴーギャンは画家に転身したい思いが強くなり、勤めていた会社を辞めて絵を本業に生活を開始。しかし、会社を辞めてからの生活は金銭的にとても厳しかったため、ゴーギャン一家は生活費が安いルーアンに移りました。その後妻の実家であるコペンハーゲンへ移住します。

1885年にゴーギャンは家族をコペンハーゲンに残し、息子1人を連れてパリに戻ります。その息子もやがて妻に引き取られ、その後ゴーギャンの放浪の旅が始まるのです。

二度訪れたタヒチ

1886年、ゴーギャンはブルターニュ地方のポン・タヴェンに移り、制作を開始します。しかし貧しい生活は変わらず、餓死寸前まで追い込まれることもありました。

1888年に南仏アルルでゴッホと共同生活を始めますが、性格や芸術観の違いから2ヶ月という早さで破綻。その後はパリやブルターニュを行き来しながら制作活動を行なっていました。そして1891年、ゴーギャンはタヒチへ移住します。

タヒチへ移住した理由は諸説あるようですが「生活費を安くするため」「安らぎを求めるため」「欧州文明や因習的なものから決別するため」といったことが関係しているそうです。

タヒチへ移ったゴーギャンはパペーテでしばらく暮らし、その後マタイエアに移り住みました。そこで13歳の少女テフラと暮らしながらタヒチの女性たちを描く生活を送りますが、生活が困窮したため、1893年にまたフランスへと戻ります。フランスではジャワ人の女性アンナと同棲していました。

1895年に再びタヒチへ渡り、そこから通算12年間タヒチで過ごすことになります。2度目のタヒチではまた別の少女たちと暮らしながら創作をしますが、1897年に「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を描いたあとに自殺未遂。

晩年はマルケサス諸島に移り、その2年後の1903年、54歳のときに心臓発作で急死しました。
ゴーギャンの最後は看取る者がおらず、孤独のうちに亡くなったそうです。

ゆかりの地

ゆかりの地

タヒチでのゴーギャンゆかりの地をご紹介していきます。

マタイエア

ゴーギャンが最初のタヒチ滞在で暮らしていた場所。パペーテの植民地化に幻滅したことがきっかけでマタイエアへ移り住み、13歳の少女テフラと2年間住んでいました。

プナアウイア

2度目に訪れたタヒチで最初に暮らした場所。自身の健康状態の悪化や娘の病死などで絶望していたゴーギャンは、このプナアウイアで「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を描きました。

ヒバオア島

ゴーギャンが晩年を過ごした場所。アツオナにある共同墓地にゴーギャンの墓があります。

ゴーギャンをモデルにした小説

ゴーギャンをモデルにしたといわれている「月と六ペンス」という小説があります。月と六ペンスは、イギリスの小説家「サマセット・モーム」の代表作。あらすじはこのようなお話です。

『主人公はある夕食会で、冴えない男「ストリックランド」と出会います。仕事も家庭も上手くいっていたはずのストリックランドが、ある日突然姿を消してしまうのです。主人公はその後パリでストリックランドと再会しますが、すべてを捨ててまで選んだ道、そしてその理由に耳を疑います…』

ストリックランドのモデルとなっているのがゴーギャンです。長年連れ添った妻と子供を捨てて画家を目指し、誰に何を言われようと突き進む情熱的な生き方が描かれています。また、この小説は「人間の本質とは何か」ということを考えさせられる作品でもあります。

伝記ではありませんが、ゴーギャンの生涯やどういう経緯でタヒチへ向かったのかなども知ることができるので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

まとめ

タヒチを愛した芸術家、ゴーギャンの生涯をご紹介してきました。有名な画家ではありますが、破天荒で自由な性格や、絵を描くことに対する激しい情熱、孤独で寂しい晩年…など、ゴーギャンについて深くは知らなかったという方も
いたのではないでしょうか。

ゴーギャンに関する書籍は多くあるので、より深く知りたいという方はぜひ調べてみてくださいね。

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