コラム

ポリネシアンショーの華〈タヒチアンダンス〉、美しい女性達や逞しい男性達が身体全体を使い動き回り、ステージ一杯に繰り広げるタヒチアンダンスは見ている私達を惹きつけて魅了する。

そのパフォーマンスの素晴らしさをより魅力的に演出しているのが彼らが身につけている衣装の美しさだろう。

曲によって振り付けが違うように彼らの衣装も曲ごとに違っている。

今回は素晴らしいタヒチアンダンスを更に美しく見せるのに大きく影響している〈タヒチアンダンスの衣装〉について書きたいと思う。

タヒチアンダンスの種類について

いきなり衣装の話をする前にまずはタヒチアンダンスの種類の説明からしたい。

なぜならばタヒチアンダンスもフラ同様に、曲によって昔から代々受け継がれた衣装が決まっているからだ。

ダンスタイプⅠ ’OTE’A
オテアアムイ  (男女一緒に踊る)
オテアヴァヒネ (女性が踊る)
オテアタネ   (男性が踊る)

ダンスタイプⅡ ‘APARIMA
アパリマヴァヴァ(ウクレレ、他の打楽器で演奏に合わせて踊る)
アパリマヒネメ (歌いながら踊る)

ダンスタイプⅢ PA’O’A
踊り手全員が反円か円になり、男女1組が次々にセンターで踊る

ダンスタイプⅣ
男女分かれて向き合い交互に入れ替わり踊る

タヒチアンダンスの衣装について

グランコスチューム

Le Grand Costume〈TE ‘AHU ‘OLI〉
ダンスタイプ1とタイプⅢで使用される衣装

一般的な素材はモレ(プラウと呼ばれるワイルドハイビスカスの樹皮)、タパ(植物繊維で作られた布)、ニアウ(若いヤシの葉)、貝、羽根などの自然からなる物に限り使用が可能になる。

グランコスチュームはショーの始めやフィナーレのオテアを踊る時に身に付ける衣装で、全身にコーディネイトされているセットのアンサンブル衣装、この衣装を身に着けたダンサーが多勢で踊るオテアは圧巻だ。

*女性用グランコスチューム
TAUPO’O…ヘッドドレス(タヒチアンハット)
‘I’I…両手に持って振りながら踊る
TAPE’ATITI…ブラ(布やタパで作られた物やココナッツで作られたココブラなど)
HEIPARAU…黒蝶貝のネックレス
HEIPUPU…小さな貝で作られたネックレス
HATUA…腰ベルト、タッスル(房)や貝を装飾してあるベルト
MORE…くるぶし丈の腰みの、タヒチアンスカート

*男性用グランコスチューム
女性と違うのはTA’AMURIMAという腕飾りや、TAUMI(胸当て)、TAHEI(タスキ)を付けることがあるのと、MOLE(腰みの)は女性より短めで脛丈か膝丈になり、膝丈の時にはTA’AMU’AVAEという足飾りを付ける時が多い。

自然植物からできている衣装

Le Costume Vegetal〈TE’AHURAU’ERE〉
ダンスタイプⅠ、Ⅱ、Ⅳで使用される衣装

オテアで使用する衣装と同じ物を植物から作っていく。

素材となる植物は生か乾燥させて使用するのが原則で、代表的で主になる植物はアウティ(Tリーフ)、オプヒ(ジンジャー)やティアレの花は衣装の装飾によく使われている。

他には茎を使うカボチャ、スパイダーリリーの葉から根にかけての部分、葉の先が白い部分を使うムセンダなど自然植物を材料にした衣装は多く、ダンサー達は男女共に自分の衣装は自分で作るのが基本となっている。

女性が頭につける冠のようなものは、HEIUP’OOと呼ばれイランイラン、ジャスミン、ミリ(バジルの一種)などの香りの強い花とアウティを編み込んだ物を使いゴージャスに飾るつけているが、男性用の冠はシンプルにアウティだけを編んでヘッドバンドにしている場合が多い。

男性はオテアの時のモレの代わりにアウティで作ったMARO’AUTI(ふんどし)を身につけて踊るのが定番となっている。

パレオとアパリマドレスの衣装

Le Costume en Tissu & Le Robe
ダンスタイプⅢで使用される衣装

*パレオ
無地か花柄、葉の柄、タパ柄などタヒチに存在する植物などの柄がデザインされた布で、男女ともに植物で作られた衣装で(前項参照)腰にパレオを巻き付けて踊る。

男性はMALOと呼ばれる〈ふんどし〉か、TIHEREという方法で腰巻にしてパレオを使用する。

*ドレス
パレオでできた長いドレスを〈アフロア〉といい、優雅でスローな歌を伴うアパリマを踊る際に着るので、スローな手踊り中心のタヒチアンダンス自体をアフロアと呼ぶ事もある。

シンプルなコットンのパレオもあれば、フィブランというしなやかなコットン素材もあるので、曲やショーの流れによってダンスの動きを楽しめる。

最近ではデザインも色々でまるでイブニングドレスのような衣装もあり、柄のない白い無地や大きな花柄模様のドレスが多いし沢山のフリルを使った物もある。

タヒチアンダンスの衣装についてのまとめ

ポリネシアンショーの華、タヒチアンダンスの衣装を紹介してきたけれど、どの衣装も昔から代々教えられ伝えられてきた作り方や決め事がある。

その古風な流れの中で、観光客に見せる為に洗練され鮮やかに生まれ変わったデザインもあるだろうが、タヒチアンダンスをただの「腰振りダンス」などと決して言わせない誇り高きタヒチアン達の想いが垣間見える衣装のセンスの良さと華麗さ、そしてタヒチアンダンスそのものの芸術性の高さを心に留め置いて、チャンスがあれば彼らのショーを見てほしい。

きっとダンスの素晴らしさと同じくらいダンサー達が身につけている素敵な衣装に魅せられるに違いない。

Rinko

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