南国のダンスといえばフラダンスを思い浮かべる方が多いですが、最近タヒチアンダンスも徐々に浸透してきています。タヒチアンダンスはタヒチ島の伝統舞踊で、特徴的な腰の動きがダイエットに繋がることから、新たな趣味に選ぶ方も増えています。
徐々に知名度を高めているタヒチアンダンスですが、いくつかの種類に分けられているのをご存知ですか?本記事では、タヒチアンダンスの種類と特徴を解説します。それぞれの魅力を知ることで、タヒチアンダンスの奥深さに触れていただければと思います。
激しく力強い踊りが特徴の「オテア」
一般的にタヒチアンダンスというと、こちらの「オテア」をイメージする方が多いですね。力強く、ダイナミックな動きが印象的です。
素早く激しい踊り
オテアはタヒチアンダンスの中でも特に有名な踊りで、神話や言い伝えを体で表現するときや、戦いの前などに精神を高揚させるため踊るものとされていました。
男性は足を、女性は腰を激しく動かすのが特徴です。女性は、多いときで1分間になんと200回以上も腰を振ることがあります。その動作の激しさからダイエットに効果的とされ、少しずつ日本でも知名度が高まってきました。
参加するダンサーの性別によって、名称が変わるのがポイントです。男女で踊るのはオテア・アムイ、女性だけはオテア・ヴァヒネ、男性だけはオテア・タネと呼ばれています。男性のたくましさと女性のしなやかさ、どちらもオテアの魅力といって良いでしょう。
シンプルだからこそ力強さが際立つリズム
オテアに用いられる音楽には、メロディや歌詞がありません。トエレと呼ばれる打楽器や、タリパラウ、ファアテテなどの太鼓を使ってリズムを奏でます。打楽器を使用するからこそ一つ一つの音が重く響き、躍動感を高めているのですね。
打楽器のリズムとダンサーの腰使いや足使いが融合することで、生命力に溢れたワイルドなオテアが完成します。
ワイルドながらセンス光る衣装
オテアを踊る女性は、伝統的なスタイルで、モレというスカートを着用するのが一般的です。またパレオを着用し踊ることもあり、パレオの丈は、より腰の動きがはっきりわかるよう膝丈となります。またこの長さは、大きな動きや激しく踊る為にも最適な長さです。モレスカートは、木の樹皮から作られており重みを感じます。これがトラディショナルスタイルと言われています。
また、腰の動きをより強調するために、派手なヒップベルトを腰回りに巻くことも多いです。葉っぱや羽などで飾りつけられたヒップベルトは、大きく揺れ動くことで腰の動きの激しさを際立たせます。ヒップベルトと頭に同色の羽を飾るなど、ワイルドなダンスの中に光るコーディネートセンスも見どころのひとつです。
一方男性も、激しい足の動きをよく見せるために、女性同様パレオを着用します。男性の場合はマロと呼ばれ、ふんどしのようなスタイルです。鍛え上げられた筋肉と、葉っぱや樹皮で作られた野生的な衣装がマッチしていますね。男性も頭や首に飾りをつけ、ワイルドさを演出しています。
エレガントな踊りが印象的な「アパリマ」
同じタヒチアンダンスでも、先ほど紹介した「オテア」とこれから解説する「アパリマ」は大きく異なる踊りです。「Apa」はタヒチ語で「踊る」、そして「Rima」は「手」という意味を持ちます。つまり、アパリマは手の動きによってメッセージを伝える踊りなのです。
優雅に歌詞を表現する踊り
昔、アパリマは日常生活の仕草を表現するための座り踊りでした。現在は立って踊るのが主流で、全員で歌いながら踊るタイプがメインとなっています。
アパリマならではの特徴が、歌詞の内容を手の動き(ハンドモーション)によって表現することです。歌詞の意味を言葉だけでなく、ハンドモーションでも伝えるのがユニークですね。タヒチは豊かな自然に囲まれているため、自然を愛する歌詞が多く使われているのが印象的です。
そして、タヒチアンダンスといえば腰の動きが気になりますが、アパリマの場合は曲によります。オテアのように素早いこともありますが、基本的にはゆったりとした優雅なものがメインです。しなやかな女性らしさを全面に押し出した、優しく美しい動きが心に響きます。
アパリマは2種類あり、無言でパントマイムのように動くアパリマ・ヴァヴァと、弦楽器のメロディに合わせて歌いながら踊るアパリマ・ヒメネに分けられます。
アップテンポもバラードも有りなメロディ
オテアのようにリズムだけで踊るのではなく、ギターやタヒチアンウクレレを使って演奏されるメロディに合わせて踊るのが、アパリマの特徴です。
曲調は明るくアップテンポなものからしっとり穏やかなバラードまで幅広く、さまざまな音楽に合わせて踊る楽しさがあります。最近ではテクノポップを取り入れたものもあり、時代の変化に合わせて進化しているのが魅力ですね。
見るだけで元気になる、華やかな衣装
スカートの丈を短くして腰の動きを強調するオテアとは対照的に、アパリマの衣装は膝を隠すのが普通です。足首まであるパレオやロングドレスなどを着て、優しい腰の動きとハンドモーション、そしてダンサーの表情に注目させます。
明るく陽気な曲が多いためか衣装も原色かつ大柄がメインの、見ているだけで元気が出そうなデザインが多いです。華やかな衣装を身にまとって踊れば、嫌なことも全部吹っ飛んでしまいそうですね。
ほかにもあるよ!タヒチアンダンス
代表的なタヒチアンダンスはオテアとアパリマですが、ほかにもいくつか種類があります。ひとつはダンサーが半円になってしゃがみ、その中で男女のペアが短いダンスを披露する「パオア」。そしてもうひとつは、ダンサーが円になって踊り、リズミカルな掛け声をする「ヒヴィナウ」です。メインはオテアとアパリマですが、ほかにも種類があると知っていれば、タヒチアンダンスを1段階深く理解できますね。
実際に踊って違いを確かめよう
タヒチアンダンスの主流であるオテアとアパリマについて、理解していただけたでしょうか。それぞれの特徴を知ると、よりタヒチアンダンスを楽しめるようになります。種類だけでも知らないことがたくさんある奥が深いタヒチアンダンスを、今度は実際に踊ってみてくださいね。