フラダンスというと、手をひらひらさせてゆっくり揺れながら踊っているというイメージがありますよね。この手の動きを「ハンドモーション」と言います。フラダンスは、動きの1つ1つに深い意味があり手の動きで歌詞の意味を表現しているので、ハンドモーションはとても大切な役割を担っていています。
動きが美しいだけではない
フラダンスはハワイの伝統的な踊りです。ハワイでは神様や精霊への感謝や敬意、祈りを捧げる時などにフラダンスを踊ってきました。ハンドモーションは、ただ単に動きが美しいだけではありません。フラダンスは、ハンドモーションと足のステップ、表情などで歌の気持ちを表現しますが、その中でもハンドモーションは、感情や自然の姿を伝えるのにとても重要な要素なのです。
ハンドモーションの意味
では、ハンドモーションには具体的にどのような意味があるのでしょうか。
ハンドモーションは大きくわけて3つの種類があります。代表的なものをいくつかご紹介しましょう。
感情を現すもの
アロハ=愛
ハワイ語の「アロハ」は挨拶だけでなく、愛、あなたを愛するというような意味もあります。
手のひらを下にして広げた両手を胸の前でゆっくりクロスさせます。愛する人を抱きしめるようにふんわりと優しく動かします。
ナニ=美しい
両手を上から下に下ろしていきます。手のひらは内側にします。ゆっくりと伸びやかに動かして美しさを表現します。
人や物を現すもの
オエ=あなた
「オエ」のハンドモーションにはいくつかのスタイルがあります。
一例として、片方の手は胸にあて、反対側の手は手のひらを下にして斜め前に伸ばします。そして、その手の人差し指を軽く指差します。
クウ=私
手のひらを自分の方に向けて、両手を胸の前に持ってきます。
レイ=レイ(花や草で作る輪になった装飾品)
胸のあたりからレイを持ち上げるように優しく上げて、首にかけるように耳の後ろあたりに手をまわしていきます。そして、ゆっくりと両手を胸の前にもどしてレイを支えているようにします。
自然を現すもの
プア=花
手のひらを下にむけ、そこから手のひらを返しながら指で花のつぼみの形を作るようにします。手の出し方には他にもいろいろなスタイルがあります。
ウア=雨
両手を斜め上にあげて、人差し指をパラパラとうごかして雨が降っている様子を表現しながら斜めに下ろします。真下に下ろしてくると、滝のハンドモーションになります。
マカニ=風
両手(もしくは片手)で頭の上をなでるように回転させます。動きを大きくすると、「強い風」の表現になります。
ハンドモーションは、いくつか組み合わせて「美しいあなた」や「私の花」などと表現することができます。
もう一つ、「ハンドウェイブ」といってハンドモーションとは別の手を波のようにくねらせる動きをすることもあります。ハンドウェイブは、曲のはじめや間奏の時など歌詞のない部分に行います。ハンドウェイブにはハンドモーションのような意味はなく、「つなぎ」としての役割を担っています。
ハンドモーションは柔らかくしなやかに
ハンドモーションは、動きの一つ一つに意味がありフラダンスを踊る上で重要な要素になっていることはわかっていても、「意識しすぎてぎこちなくなってしまう…」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。日本人は、「きっちりと表現しなきゃ!」とついつい硬くなってしまうことが多いかもしれませんね。ハワイの人のフラダンスは、柔らかくしなやかです。動きがぎこちないときは、きっちりと力を入れすぎず肘を少しゆるめてみましょう。プアやウア、ナニなどのハンドモーションは少し力を抜くと綺麗にできるかもしれませんよ。
もう1つは、「つなぎめ」の意識です。やはり、フラダンスはなめらかで無駄のない動きが美しいですよね。動きがぶつぶつと止まってしまったり、無駄な動きが途中に入ってしまっては、きれいなハンドモーションとは言えません。一つ一つのハンドモーションだけでなく、動きのつなぎめも意識してみましょう。
また、動かしていない方の手のことを忘れてはいませんか?片手でハンドモーションを行っている時、使っていない方の手が無意識になっていては美しくありません。ほんの少し意識することで見た目の印象は変わるはずです。
歌の気持ちを表現しましょう
フラダンスに限ったことではありませんが、ダンスをする時に一番重要なこと…それは、「その気になって踊る」ということでしょう。振り付けに一生懸命になっていては、歌の気持ちを表現することはできませんよね。特に人前では、恥ずかしかったり緊張してしまって動きが硬くなってしまうかもしれません。フラダンスは、ハンドモーションだけでなく、足のステップや姿勢など気をつけることはたくさんあります。振り付けをきちんと踊ることはもちろん大切ですが、見ている人がハワイの風を感じたり、波の音が聞こえてくるような空気感を出せると素敵ですね。