コラム

ポリネシアン諸島には古代から伝わる多くの神話が存在する。
フラを踊っているとその神話に基づかれた内容の歌詞(物語)が再三出てきておもしろい。
特にカヒコ(古典フラ)を踊る際にはその唄に登場する神々の名前やストーリーを少し頭に入れておくと「なるほど感」が増して楽しく表現豊かに踊れると思う。
今回はポリネシアン諸島に伝わる膨大な数の神話から代表的なハワイの登場人物を簡単に説明しようと思うが、まず初めに「なぜこれほど多くの神話、神々がハワイには存在するのか?」という理由を知っておきたい。
尚、この神話伝説にはひとつの物語にも様々なとらえ方があり、決してここに書いたものが解釈の全てではないのでチャンスがあれば沢山のハワイ神話の研究者たちの書籍も読んでほしい。
(ポリネシアン諸島に伝わる神話の専門書は日本でもかなり多くの人が出版している)

自然崇拝と森羅万象に神が宿るという考え方

古代からポリネシアン諸島の人々には自然界におけるあらゆる物には神が宿り(manaともいう)、この世の出来事や与えられる物質は神々からの贈り物と考えられていた。
我々人間は神から与えられ、教えられた事を大切に継承していかねばならない。
ハワイでは神が人間が必要とする姿に化身すると考えられているので、王室、フラ、メレ(唄)、空、星、月、太陽、土地、海、動物、魚、木、花、虫に至るまでこの世に存在するありとあらゆる物に神の名前がつけられ、バックグラウンドしての物語がある。
あまりに膨大な数とロマンに溢れた物語ひとつ一つを検証していく事は不可能に近いのかもしれない。
難しいことは抜きにして、ここでは「この名前は覚えておこうかな」くらいの軽い気持ちで読んでほしい。

火山の神PELE

PELE

今もハワイ島のキラウエ火山に住むといわれる有名な女神の名前「ペレ」は知っている人も多いと思う。
ペレはカヒキと言われる島で生まれたけれど、その激しい気性と嫉妬深さから姉である「水の神ナーマカオカハイ」との争いが絶えず休息の地を求めハワイ島にたどり着いたと言われている。
その強い個性で恐れられているペレではあるが、実は情に熱く絶世の美人だとも言われて現在でも人々はペレを崇拝し続けているし、愛し、恐れられている。
ペレ神話は数多く、おもしろいエピソードが沢山あるので是非ペレ神話を読んでほしい
ペレのフラソング、ペレの物語からの流れで作られた曲は実に多くあり興味が尽きない。
ペレの生まれ故郷のカヒキは特定された地ではないが、現在のタヒチではないかという説がある。
ハワイ諸島の人々の祖先はタヒチからやって来たという説もあるので、カヒキ=タヒチという考えは間違っていないのかもしれない。

偉大なる四大神

ハワイだけではなくサモア、トンガなどのポリネシアン諸島を代表される神々の中に人々から最も尊敬されているクー、ロノ、カーネ、カナロアの四大神と総評される神々がいる。
(地域によって若干呼び名が違う)
彼らも又ハワイ人の祖先の故郷であるカヒキからやって来たと伝えられている。

クー<戦いの神>

最も男性的で戦争や漁業、農業、魔術などを司り「立つ」という意味の名前を持っている。
その強いイメージの反面、優しい女性的なイメージのヒナと対を持ち、家族や友人を救う優しい面も持っていたという。
クーは太陽、ヒナは月を表す。
クーに関する逸話も数多く残っている。

ロノ<平和と豊穣の神>

ロノは農業、豊穣、平和、スポーツを司る神で、さまざまな自然界のものはロノの化身と言われる。
ロノについても多くの興味深い伝説があるが、中でもキャプテンクックが1779年にハワイ島にたどり着いた時にロノと間違われ(たまたまその時期にロノの豊穣祭が行われていたので)島を上げてのもてなしを受けるが、後にロノではないと判明し虐殺されたという恐ろしい話しは今も語り継がれている。

カーネ<最高位の神で生命創造の神>

ハワイ語でカーネは「男性」という意味で、カーネは水、太陽の光、生命力の源の神。
死者を生き返らせる事のできる水を湧き出させる力があり、70以上の姿に化身して人々の前に立つという。
四大神の中で最も偉大な神で、海の神カナロアと共にカヒキからやって来たと伝わっている。

カナロア<海の神>

カーネと一緒にカヒキ(タヒチ?)からハワイにやって来たカナロアは、ほとんどの時間をカーネと過ごしていた。
カナロアは海に住む全ての生き物を生み出す神で、ヘエ(いか)に姿を変えて病を癒していたと言われている。

メネフネ

メネフネは神というより伝説上の小人(こびと)の民族で、昼は眠り夜に働く陽気で働き者のカウアイ島に住むと言われる人達。
数々の工事困難な建築物やヘイアウと呼ばれる神殿を一夜のうちに作ったと伝わっている。
メネフネ伝説は多数あり、生まれや本当に小人であったかどうかは諸説あるようだ。
いたずら好きで働き者のメネフネ伝説も面白く描かれている話が沢山あるので、こちらもぜひ読んでほしい。

まとめ

ハワイ好きの方の為に「知っているともっとハワイが楽しくなる」かもしれないハワイの神話伝説に登場する代表的な神々 ペレ、ハワイの四大神(クー.ロノ.カーネ.カナロア)、メネフネについて簡単に説明したが、なにしろポリネシアン諸島に伝わる神話の数は膨大で神々の数も800以上だとか…
その神達がそれぞれ多数の姿に化身するのだからとても覚え切れるものではないが、何冊か神話を読んで自分の好きな神(精霊)を見つけてエピソードをたどればワクワクしてくる。
古代ハワイアンから伝わる神話には私達を魅了するユニークで魅惑的な神々達が、私達に今も沢山の事を教えてくれる。
単なるリゾート観光地だけではないハワイを古代神話伝説から少し知るだけで、次回のハワイ旅行がもっと楽しくなるだろう。

Rinko

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